19.ヴォイストレーニングの考え方
ヴォイストレーニングで大切なのは、誰にでもできるようになることと、誰にでもできることではないことがあるということを、それなりに理解しておくことです。 例えば、男性が女性のように高い声を出すのには、それなりに可能性がありますが、それでも程度が…
最低でも、基礎には10年のキャリアと、私は思っています。 人間は、たかだか何十年しか生きないわけですが、10年を目一杯、あることにかけてみても、そんなに長いわけではありません。むしろ目標や目的を絞り込めないままに、あっという間に10年が経ってしま…
どこで教えられたことや与えられたことから脱皮できるか、そのことをベースに、自分のものを編み出せるかということです。 教えられることのメリットがあるとしたら、そこにあります。 そうしたノウハウやハウツーは自分のものではなく、教えた人のものです…
ベストというものは、正しいものがあるのではなく、より上位のものも、よりベストなものもいくつもあるということです。 1つの理論で説明されるもの、規定されるものではなく、複数の理論や概念が成立するのです。つまり、あらゆることによって当てはまるこ…
声を突き詰めていくと、心身のことに必ず当たってきます。しかし、フィジカルやメンタルが衰えていくと、自然と、頭で考えるようになります。つまり、身体の声を聞くのでなく、脳の考えるように判断してしまうわけです。脳より、身体、内臓などの方がよっぽ…
医療に関して、例を引くことが多いのは、そのレベルでの問題が起きる人が多くなったからです。以前はほとんど、アスリートの基礎トレーニングや専門的なトレーニングから例を引いていましたが、それだけでは通用しなくなってきたわけです。
現代医学というのは、症状をおさえて安定させることを目的にしています。決して治療しても、治癒するのではないのです。根本的に治しているのではないということです。 整体やマッサージと似ていて、そこで調子がよくなっても、また悪くなると、そこに行って…
音楽は教養であり、たしなみとしても、とてもよいものです。 人としての礼儀をも守れるようになります。形ということをいわなくても、そういったものがあって、動いていくからです。
無理なものに立ち向かうのではなく、誰でもできそうなものから入ってきます。お祭りなどは、そういった点で誰でも入れるのでとてもよい入口です。 得意なことをそれぞれが行えばいいわけです。
声や歌や音楽とわけて考えると、わかりにくいです。ですから、音楽家などというように独立させて考えない方がよいと思います。 私自身、この分野にいながら、物理学、生理学、医療などにも関わってきたからです。
1人の人間が生涯をかけて熱中するようなものには、何かしらそれだけの魅力があるということです。ですから多くの人数の人が長い期間に親しんできたものに対して、尊重することだと思います。
わからなくとも、それは自分が意味を、見いだせていないだけで、世の中の賢明な人たちは、それを理解していると思ったほうがいいでしょう。その上で好き嫌いがあるとは思いますが。
そういうものをきちんと解説してくれるような人がいると、早くその見方を習得することができるでしょう。ただ自分の肉体に身体的能力をつけるのとは、全然、別の話です。
ポピュラーにおいては、カラオケと同じで、自分の好きなところにキーを変えてもよいし編曲できないわけではありません。むしろ、もっとも自分にふさわしいキーとテンポを知っていくことです。
具体的にいうと、声域が広い方がいいとか高い声が出るほうがいいとか、そういうことをめざすのではなく、自分が最も価値を持つ声を見出し、その使える範囲内で表現していくのが、基本路線です。
オペラやミュージカル、あるいはコーラスのように、ある程度、平均的なところに合わせなくてはいけないケースもあります。作品がそのようになっているなら、それに適応できるかどうかが、この場合の適性となります。
ただ漫然とやっていると、あるところからは、積み重なっていきません。繰り返しだけ、現状維持に陥っていないかを注意することです。 いろんな人の話や体験を聞いて、工夫して、モノにしていきましょう。何事も一度は、深入りして、それなりの裏というものを…
自分を観察する、つまり自分への評価を常に厳しくし高めていくことです。だからといって、それを他人にしろということではありません。まわりの評価に対して認められるように努力するのです。そして、その段階が終わったら、まわりがいくら評価してもそれと…
何でもかんでも適当にうまくできてしまう人は、器用で使い勝手がよく若いうちは重宝されます。しかし、専門を絞りきれないと、歳をいくに従って指名されるほど勝負どころがなくなり、仕事も難しくなってきます。私はそういう人をたくさん業界の内外で見てき…
独学のよさというのは、既存の枠、今までこういうことであり、こういうものではないと決められたものにとらわれないことです。それにとらわれている限り、そこの最高のレベルは超えられないからです。 ただそのレベルに行くまでに、教本やレッスンなどまわり…
声などというのは単純なものです。その人の前で声を出したら、違うと思わせられるかどうか、それが全てとはいいませんが、そうしたところの信用によって成り立っていくわけです。 声と歌というのでも違うわけですが、基礎は同じです。
私たちは生まれてから死ぬまで身体を使って生きています。ということは、身体に支配されているのであり、身体を支配しているわけではないのです。 少しずつでも最良の身体の使い方に近づけていくことにより、身体とうまく付き合えるようになっていくのです。…
レッスンの中における空気感というのはとても大切なものになります。私は、その空気感を作り上げるために、最初、研究所のスタジオを道場のようなものにつくりました。 そこにいたら、深まっていくような、醸造所のようなものであればいいと思います。運が良…
突き抜けていくということは、自分の中ばかり見ていてもダメで、外の世界から見なければなりません。ですからヴォイストレーニングであれば、声の世界ではなく、全く違う世界、できれば優れている人の多くいる世界で優れている人と接して、そこで通じるかど…
そうであっても、誰もが費やした時間や量の順に優れて、結果を出せるわけでないこともわかります。それを人は才能とか素質と言います。 しかし、現実には、トレーニングのやり方や取り組みに現れます。
顕著な反例では、やり過ぎて体調を崩したり、怪我をしたり、ひどい場合は、伸び悩むどころか、つぶれる、選手生命を失うことさえ、出てくるのです。 とはいえ、稽古の量や時間は、うまくいくと、よりよいリラックスやフォームの完成に役立つことは確かでしょ…
量をこなすことが、メンタル的にも強くなり、誰よりもやってきたということが自信になるのは確かなことです。 誰が、あるレベル以上のなかで、自分の才能や素質やトレーニングの方法だけに、絶対の信用をおけるでしょう。 まわりの評価も同じです。1番練習し…
日本人の習性なのかもしれませんが、何かが身に付くということは、修行や努力の結果であり、それはつらく苦しいものだという先入観があります。それを乗り越えたからこそ、身に付いていくというイメージもあるのです。
もし負けたのであったら、それは勝った選手よりも努力が足らなかったと考えると、さらなる努力をすれば勝てる望みも出てきます。多くの場合、勝てる選手は、それだけのことをやっているというのも事実です。
以前は、その努力というのに、時間や量が最重視されました。10代に置いて勝負を決めるとしたら、素質、才能も大きいかもしれませんが、いかに早く始め、いかに多くの量と時間を使ったかが、上達や成績に直結することは否めません。