私は単に呼吸法や発声法でなく、音楽や表現として、どう声を捉え、導くかを主にやっています。この分野は、まだまだ未開で人材も乏しいと思います。
これまでの科学的な説(仮説を含む)や声楽家やトレーナーの指導書、方法論こそが、多くの誤りを生む原因にもなってきました。これもイメージを介しての指導であれば、端から記述されたことで正誤を判断すればよいというものではありません。
声や歌は個人差(民族、言語や文化の違いも含めた上に)体や声帯の差、日常の言語や歌唱で得たものでの差、目的の違いが大きいからです。
さらに、声の発信体としての研究だけでなく、声の受信体(客の反応)としての研究も必要です。(音楽心理学や大脳生理学、音声知覚など)とはいえ、次のようなことが前提として、あるといえます。
1.スポーツのように、目的が一定でなく、個別の設定によるため、真似から正しく入りにくいこと。
2.目に見えない音であるため、耳にすぐれた人でないと、難しいこと。
3.指導上の感覚・イメージ言語の誤解、継承、解釈、使用の誤りが必ず起きること。
4.現場と研究との乖離、日常と芸術、舞台との距離があること。
5.音響や舞台装置など応用技術効果の導入で、表現の到達レベル、基準があいまいになったこと。
6.舞台、ショースタイル、客の趣向で大きく左右されること。
7.本人の生き方・考え方・パーソナリティが優先されること。
- 才能より好みが優先してしまうこと)が優先されがちである。