プロの鍛えられた声というのは、すぐにわかるでしょう。かつて、声は歌唱や演技の重要な要素として、喉を鍛えたのです。その結果、プロの声となったのです。
声帯や体というのは、誰一人同じ人はいません。それぞれにめざす声も、声の使い方も上達のプロセスも異なるといえます。そこでは、一つのトレーニング方法が万能というわけにはいかないのです。その人によって、時期によって、目的によって、優先順位によって、すべて変わるのです。
しかし、多くの先達の方法や、私自身の経験、100人100様に対して、対処してきた中から、ある程度、共通したものはあります。
「オリジナルの声」というのは、ヴォイストレーニングに関して、私が使っている意味でいうのなら、その人の体(声)の原理から導き出されたものです。楽器なら、もっとも共鳴する音、何も邪魔しないで共鳴する音、そういうところが働いて鳴っている音をオリジナルといっています。
自分で考えて勝手に作ったような声ではありません。演奏効果として歪(ひず)ませたような独自の音、色、タッチであったとしても、ここでは除外します。自然な声というと、そのままの素の声と思われるので、造語しました。
他に「ベターな声」(今のもっともよい状態の声)、「ベストの声」(将来の鍛えられたプロの声)とも言っています。もちろん、一般的にオリジナリティというのは、音色や演奏方法も含めて言います。