声に芯があり、歌に線があり、線に変化があって、その線の動きの変化を捉えてはじめて、聞く人はヴォリュームを感じます。徐々に大きくなっていくことで、感情が盛り上げられ、高揚します。歌というのは、だいたいそのようにつくられています。
他人の感覚やイマジネーションに働きかけるのは、歌い手の感覚やイメージなのです。声に焦点がなく、浅く広がっていては、歌えても歌を動かせないのです。芯のある声で音楽的なデッサンで歌の形をくっきりと描き出してこそ、演奏になるのです。つまり芯があり、響きの線のみえる声とそれを使って描く力が必要なのです。