日本人の英語の発音は総じてよくなりました。しかし、発声の息とリズム(強弱)がよくないのです。口先で英語を器用に発音しているだけです。英語らしい雰囲気で聴かせているだけといってもよいでしょう。声は前に飛ばないし、強い息にのっていない。歌も声の芯や深い息がないので、私は、その一声で話したり、歌っているのが日本人とわかります。
英語は、強い息を発し、舌、歯、唇で生じさせる子音を中心とする言語です。日本語にないパワー、勢いといったものがそこからつきます。それが自然な深い声や音色につながるのです。その根本的な部分まで、耳と声で捉えている人はどれだけいるのでしょうか。
音楽面のみならず、自然な発声と呼吸を身につけた体があってはじめて、外国人のヴォーカリストと対等に渡り合える実力につながるのです。ですから、体からの深い息をなるべく深い声にするトレーニングを続けることです。
あまりに広汎に使われ、なまりも許されている英語では、日本語なまりであっても充分だと思います。その他の国のことばは、現地の人に聞かせるなら、それを母国語としている人と同じレベルの発音に使いこなすくらいに、使い込んでいかなくてはいけません。