私が、「ノウハウ(やり方)とメニュ」というニュアンスを、どちらかというと否定して、「基準と材料」という言葉を使ってきたのは、ノウハウ、メニュ集めになるのをやめさせたいからです。研究者やトレーナーの立場なら、確立したノウハウやメニュも必要でしょう。
トレーナーには、自分自身の勉強で、他に教わったり本で読んだメニュを自分に試してよかったから、初心者に使う人もいます。それは、けっこう乱暴なことでしょう。
“熱心な”トレーナーですが、トレーナーと初心者とは違うのです。
一つの声さえまともに出せない人にビブラートのつけ方やミックスヴォイス、ファルセットなど、○○ヴォイスなど何種類もの発声をやらせてどうなるのでしょう。
少なくとも私のところには、そういうトレーナーはいません。
すべての材料を自ら、主体的に判断するのでなく、判断の基準がアップするように使ってください。すべてを使う必要はありません。たった一つでも使えるものを最大に深めて使えるようになっていくことが基本です。私自身は、歌唱や声楽は、声を高度に応用されたものと位置付けています。