私がいえるのは、ヴォイトレに特別な方法などというのはないということです。言語を発声として、幼いときからしぜんと習得していっているのが人類です。そこで楽器のように人工的につくられたものへのマニュアルなどあるわけがない。大切なのは、こうした原点をきちんと押さえた判断です。
その上で、一流の人は、日常の中でより強度に、かつ短期に身につけた人のプロセスを効率化し、質を高めたものとして使って、自分を高めて(深めて)いくのです。
同じ方法も相手やそのレベル、使い方によって毒にも薬にもなるし、方法の違いよりも、どう使えているかの方がよほど違いが大きいのです。ですから、方法論を議論しても仕方ないのです。
研究所では、私も他のトレーナーも、相手によって全く違う方法を用いています。相手による違いの方が、他のトレーナーの方法との違いよりも大きいといえるくらいです。☆
ヴォイストレーニングを行わなくても、声をしぜんの中で相当レベルまでマスターしている人もたくさんいます。しかし、そういうプロセスを取れなかった多くの人のために、ヴォイトレはあります。シンプルに絞り込んで、感覚を鋭くし、丁寧にコントロールし、体(呼吸器官や筋肉など)を強化、柔軟に調整していくということです。