ヴォイストレーニングを目的と結果、ビフォーアフターでみてみましょう。
「トレーニングをした」ということは、何かが変わるわけです。トレーナーのあげる例をみてみますと、大体、次のようなことです。私もいくつか示してきました。取材などでは、端的に言い切らされてきたので、実情と一致していないところもあります。
ヴォイトレにおいて、結果(終点)は、もちろん、始点(現状)を定めるのさえ容易ではありません。だからこそ、ことばを使ってはっきりさせる必要があるのです。一つの目安としてのことばのイメージが、一人歩きして、トレーニングの進行や効果を妨げている例も多いから注意することです。
Before→After
1.高い声が出ない→高い声が出た
2.大きい声が出ない→大きい声が出た
3.声がかすれる→声がかすれなくなった
4.声が疲れる→声で疲れなくなった
5.声が弱弱しい→声が強くなった
6.声が出しづらい→声が出しやすくなった
7.声が途切れる→声が途切れない(途切れにくくなった)
8.声が悪い→声がよくなった
このうち、1の声域、2の声量は、相対的なものでしょう。「まわりの人に比べて劣っていたのが、人並みになった」のか、「自分の中で出しにくかったのが出しやすくなった」のかでも、どちらもあいまいです。高い声も大きな声も人間としての限度もあるし、その人の限度もあります。無限ではありえないのです。さほど使わないし使えなくとも、深さ、奥行き、余力、余裕としてある程度は必要です。
しかし、ビフォーアフターでみるなら、「前よりよくなった」で充分かとも思います。
その人の中では、トレーニングも、レッスンも、やると、やらなかったよりも大体はよくなります。相当きちんとやってからレッスンにいらっしゃる場合は、伸びしろが、それほどないこともあります。しかし、その基礎ができてから、することは無限に出てくるのです。