演出家やプロデューサーでヴォイストレーナーをやる人は、よい素材(人材)を選ぶ立場にいます。私がトレーナーをやり始めた頃もそうでした。今もプロの人がいらっしゃることがそうなのですが、反面のどに恵まれない人、障害をもつ人も増えてきています。こちらの条件を了承していただいた上で、一緒に取り組みます。常に研究、実験ということでは、どんな人にも共通するのです。こういう人は本当の基礎のさらにもう一つ下の根本を変える必要がある場合が多いのです。メンタルやフィジカル、自信、姿勢、生活習慣など。しかし、ヴォイトレにはもっとも大きく早く変わる可能性があります。
プロとのトレーニングでは、元々自分とは、異なる歌やせりふの才能をどう使うかの立場で入ることになります。オーディションなどでよい声、うまく歌える人をとるところからスタートできます。トータルとして仕上げるというケースなら、声に頼らずということも考えます。他の才能で補ったり、声の見せ場を限ることで早く舞台で通じるようにできます。
歌手であれば、自らが身につける基準については、作品ごとにおいて行えばよいのです。日本ではもっと基本を身につけて欲しいと思います。その人の声の可能性より限界を示した方が早く役立つのは確かです。