歌や芝居には、その人の半生が入っています。声も経験してイメージしたものが出てくるのですから、誰も歌や声に関して、本当は初心者ではありません。それゆえ、逆に難しいのです。
誰でもできるものだからこそ、選ばれるには難しいのです。ならば、創ればいいというのが私の「アーティスト論」です。
「十代で何のトレーニングにも通わず、プロになれる人がいるのは、歌手と役者」と、私はいつも言っています。そういう人のヴォイトレと、そうでなかった人のヴォイトレは、違います。前者は、少し修正すること(応用)でスタート(プロ活動)すべきです。根本的な基礎の多くは現場での経験で入れていきます。ヴォイトレは、そこで行きづまってからスタートです。
アーティストや作品から気づく力にすぐれていることが肝要です。ちなみに、声そのものよりも、声の持つ力を発揮する力の方が問われます。
プロでも一部の人は本当の基礎力をつけたいと言っていらっしゃいます。より早く(といっても、2~4年以上)トレーニングして、声を強化していくのです。