オペラで40代が最高といわれている声について、邦楽では、50代、60代でひよっ子、70、80代でさらに最高の声を出しているのは珍しくないのです。まして、日本人でしたら、日本の風土や精神に合って形成されてきた邦楽の声づくりをヴォイトレに加えるのは、私の長年の夢でした。
邦楽にはヴォイトレはありません。作品を師匠からの口承(口伝え)にて、直接コピーしていくのです。この一見、無謀と思われる試みが、本研究所のいろんな経験と歴史の上でようやく準備できたということです。
考えてみるまでもなく、ここのトレーナーの大半は、二期会レベルの声楽家でオペラを本業としているのに関わらず、オペラそのものを教えているのでなく、オペラの発声のなかの声の基礎としてのヴォイトレを教えているわけです。(オペラを学ぶ人も少数いますが)
つまり、邦楽においてもそれぞれの表現として問われる歌唱や発声は大きく異なります。能などは流派も多く、それぞれによしとされる声も異なります。