子供がバッテイングセンターでうまく打ちたいなら、誰かにフォームを手とり足とり教えてもらえばよいのです。ややムリな体勢だと思えても、モノになれば、それなりにいけそうなフォームになります。しかし、その人がいなくなれば、大半は元のフォームに戻ります。ムリな体勢と思うのは、それを支える体、筋肉、感覚がないから、元の自分のバランスに戻るのです。ムリがしぜんになるまで、何かをしなくてはならないのです。それがトレーニング、あたりまえのことです
声についても同じです。多くの人は、声が出やすいフォームでなく、立ちやすい姿勢、楽な姿勢で生きています。その日常性を変えるのは、他人の手を借りても一日ではできません。そういうレッスンやそういう治療に意味がないとはいいません。整体やカイロで調整して、とてもよいパフォーマンスを得る人もいます。
私は最悪の心身状態、のどの状態でも仕事をせざるをえなかった経験上、あまりに不安でないかと思うのです。私自身、他人の手や自分の心身の調整のよしあしで左右されてしまうような、不安定かつ頼りない声では通じない年月を生きてきたからいえるのです。アーティスト以上にトレーナーも自分の声に責任をもたざるをえないのです。ですから、私がプロの人に求めるのは、そのくらいにはタフな声です。