ヴォイストレーナーの選び方[アーカイブ版]

声、発声、聞くこと、ヴォイストレーニングに関心のある人に  バックナンバーは「夢実現・目的達成のための考え方と心身のトレーニング」をご覧ください http://bvt.txt-nifty.com/trainersen/

発声の理想と表現の現実

トレーナーとしてはお勧めできないと思われているとはいえ、のど(声)をムリにつぶしたタイプでは、もんたよしのりさん、長渕剛さんは、個性的です。長渕さんの「乾杯」を最初のバージョンと今とを比べると、彼の場合、きれいな声が生来あったのに、それを(テキーラで)ムリに太く強くして、変えてしまいました。声楽家やヴォイストレーナーなら嘆くことでしょう。つまり、自分の器を大きくはしたが、もともとの声の延長上でなく、大きくはみ出したところにつくったのです(もんたさんは、声域・声量も犠牲にして、声質を変えたのです)。つまり、多くのヴォイストレーナーでは否定する世界で、表現力において、作品を成立させているということです。

 私は、こういうケースでは、本人の器を大きくして、そこからはみ出さない中での可能性=限界を最大限に探究した上での自由にします。そうでないと再現性に欠け、雑になり、耐性や将来ののどへのリスクが大きくなるからです。

 

 ところが今の日本では、声を大切にするあまり、こういうアーティストの歌の発声を一方的に否定するトレーナーが(声楽だけでなくポピュラーにも)多いのです。なのに、ロックなど、デスヴォイス、エッジヴォイス、ミックスヴォイスなどの見本をみせたりやらせたりして、それを肯定するだけでなく、伝授するようなことも行なわれています。

 

 どちらもトレーナーとそれを求める人の中で成り立っている分には、私には関係も関心もありません。成り立つことがないまま、私のところにいらっしゃると問題になるのです。

 私はそれを基本と応用で分けています。そこで苦い経験もあります。基本が6割くらいできた人に、応用でややかすれながらも表現が成り立ちそうだったのに、本人自身が声そのものを気にして、違うところへ移ってしまったことがあるのです。その後、大成することはありませんでした。