ヴォイストレーナーの選び方[アーカイブ版]

声、発声、聞くこと、ヴォイストレーニングに関心のある人に  バックナンバーは「夢実現・目的達成のための考え方と心身のトレーニング」をご覧ください http://bvt.txt-nifty.com/trainersen/

マジックの効用

 その日にすぐに結果を出すためのレッスンやワークショップというのは、考えものです。ますますそういうことを求められているからです。一番ひどいのは、TVやYoutube、動画といった映像で、目で見える効果を最大限に発揮するものですから、ビジュアル>オーディオです。日本人の視覚優先社会、最近はわかりやすいものしか認めない感覚が輪をかけています。身近な道具を使うトレーナーや声をグラフ化してみせる分析家が優先されるのです。

 早逝されましたが、ピンポン玉、割りばしなどで声をよくしていた上野氏などは、TVによく出ていました。私も、カラオケの取材がよくあったのですが、TVという媒体が、あまりに本質よりも表層だけ曲げて伝えるので、お断りしているうちに来なくなりました。90年代には、経験としてトレーナーに振っていたのですが、リズムを縄跳びしかクローズアップしないことなどでショックを受けました。音の変化よりも、滑舌、高音など、明らかなものに集約されるのは、しかたありません。企画書に、主婦の日常でできるトレーニングに包丁を使い、リズムを取るなどと台本にあったときに、ムリと思いました。

 90年代終わりからは、お笑い芸人タレントが仕切る番組が多くなり、バラエティ化して、おもしろいもの、楽なものが求められるようになりました。私は電話があると、上野氏のほうへ振っていました。

 彼の名誉のために言っておくと、彼の声はよかったし、ヴォイトレを一般化させた功績は大きいと思います。タレント、芸能人(ボブ・サップあたり)と、一般の人が対象でしたから、マジシャンのような役割を自ら引き受けられていたのだと思います。

 比較的まともな番組で、科学的として専門家や大学の教授が出るものでも、声で行なうことは、話題に合わせ、パフォーマンス化しています。番組のために即興でつくられた驚きをあたえたり、視覚の効果的でおもしろいメニュ、方法が多いのです。

 私は、心身、健康とも結びつく発声、声だからこそ、細心の注意を払うべきと考えています。声の判断は、とても難しいものです。それを見てまねる人に、のどが悪くなったり、方向違いの努力を強いられることを憂慮せざるをえません。

 「トレーナーに合うが自分に合わないもの」もあります。まして、みせるための方法は、よくありません。