私のお決まりの比較表です。
ステージ・本番 トレーニング
応用 基本
全身 部分
調整 強化
無意識 意識的
しかし、そこへ至るプロセスの練習では、意識して、部分的につかみ変えていくのです。
役者が肉体をパーツに分け、パントマイムを学ぶように、です。
ちなみに、ファインプレーは応用の最たるものです。それを誰も練習しません。危険ですから、同じプレイなら、ファインプレーにせずに、基本のレベルで処理できる人のほうがずっとレベルが上です。難しいボールを派手に転倒してとる人より、地味に目立たずとる人の方が実力が上ということです。
ヴォイトレも、声を分け、それぞれをやり方で学んでいくというのが流行しているのでしょうか。トレーナーの方法をみると、3パターンが多いです。初心者にはわかりやすいからでしょうか。ストライクゾーンでいうと、高-中-低、内-中-外の3×3マトリックスと似ていますね。
私はあえて、まず一つの声といいたいのです。研究所には声優が多くいらしています。仕事としてはまず、最低5~7つの声を使い分けられないといけません。一人何役もやるからです。しかし、私は、一つの声を徹底してマスターしてから応用していくのか、正道と思っています。
その人に無理がくるので、ものまね声やアニメ声からスタートさせません。分けると早く上達したかのようにみえて、早く限界がくるのです。
噺家は人物を描き分けている、声で演じ分けているといいますが、まったく違う声を使っているのではありません。若い噺家なら、女性なら高く弱く、男性を低くと変える人もいますが、ベテランや名人は、同じ声で、声の表情で分けてみせます。2つの声が必要なのではなく、高度に使える一つの声が必要なのです。ここは声の種類をどうみるかということになりますが、実際の名人の声を聞いて判断してください。