声の場合、問題になっているところほど、へたに手をつけないことがよいでしょう。本人がいろいろとやると、くせ(限定)がつくからです。それを忘れて、違うアプローチをしていると根本的な解決に結びつきやすいのです。
コピーバンドでの歌手を目指すと言われた場合、初心者なら、コピーしていくとよくなりますが、ベテランは、引き受けるときに充分に考えます。
ベテランの役者の発声は、すでに日本語では使いつくしているので、イタリア語の朗読やオペラ歌唱をやることもあります。状態でなく条件を変えることにより、日本語で広がった日常性をイタリア語で切るわけです。そこで「次元がアップ」するのです。
この次元アップの積み重ね、これがクリエイティブなレッスンです。
AもA’もできないとき、その答えを2つのどちらかやその間で探すのでなく、自分の器(体、感覚)を大きくすることで、上の次元のCで解決していくのです。もっと上位にある見本を開いて、感覚を同化していくのです。まねるのではありません。