夢実現・目標達成のための考え方と心身声のトレーニング(旧:ヴォイストレーナーの選び方)

声、発声、聞くこと、ヴォイストレーニングに関心のある人に( 1本版は、https://infobvt.wordpress.com/ をご利用ください。)

俳優、歌手の声力の衰え

 私は以前、俳優のワークショップのヴォイトレをたくさんしていました。プロの劇団を除くと、大抵はアマチュアで声は一般の人が対象です。となると、状態だけをよくします(大半は一日で完了という時間の制限があります)。

 俳優は2、3年目から、しぐさ、表情が伴って声に反映されていくから、純粋な声としてのトレーニングは、あまり行っていません。それぞれ、自己流の中で、表現の力で修正をかけていきます。経験量が声を鍛え、プロとして活動できるだけの器を作るといえます。

 実際のところ、今ヴォイトレを行っている俳優さんより、そんなことを知りもしなかった昭和の時代の俳優の声の方がずっとパワフルです。太く迫力があり、説得力があります。いわゆる腹からの声があったのです。歌い手も腹から全力で歌っていました。よく喉をこわしたり、ときに手術する人もいました。それでやめる人などいませんでした。

 ヴォイトレが、より早く効率的に、声を鍛えるものとして、利用されているならよいのですが、どうも、安全に喉をこわさないだけの目的に、留まっていませんか。自然と得てきたところで限界を破り、未知の可能性を広げるものになっていますか。私はどうも逆行、退行しているという気がします。

 

 その原因の一つは、歌手や俳優として選ばれる人が、昔ほど声のキャリアを問われなくなってきたことです。声の資質や経験値が高い人が、俳優や歌手になっているのではありません。日本は、世界に逆行して、小顔、しょうゆ顔、エラなし、首も体型も細型が好まれるようになりました。声は優しく、男性は高音、中性化(去勢化)が進んでいます。全体的にも声の出せない民族になりつつあります。