私が早くから本を出し、ロングセラーやベストセラーとなったこともあって、研究所には多くの人が来ました。それだけの人がここに関係したわけです。
「私よりもできる」と思ってトレーナーになった人もたくさんいます。それはよいことです。でも、アーティストを諦めてトレーナーになることは、必ずしもよいことではありません。
他の才能を実社会で試すこともなく、好きと生計のためだけで続けるのは厳しいでしょう。
生計をかけて打ちこんでいくと、だからプロ、という自覚が強まることもありますが、自分の生涯をそこでつぶす可能性もあります。
私は、一時カリスマ化されてしまった反省を踏まえ、無用な露出を控えています。そしてそのずっと前から、ここを複数トレーナー制にしています。次代のこともありますが、いろんなトレーナーを実際にみて欲しいからです。
そして、多角的にものを吸収することで自分なりの方法をつくらざるをえなくする体制にしました。これは日本人の最大の欠点を補うためにはよい方法だと思います。
複数のトレーナーとのレッスンでは、矛盾が生じます。そこで気づくことがたくさん出てくるでしょう。セカンドオピニオン(この場合は、私やスタッフ)が、そこでの矛盾にあたることが、ヴォイトレで最も大きな課題の解決になるからです。単一のトレーナーについていると、問題として上がってこないのが問題です。それを求めない人もいますが、よく考えて判断してもらえるようにしたいと思っています。
研究所では、あらゆる問題に応えるようにしています。それは総括できるノウハウがあり、私以外の専門家が、内外にいるからです。
それでも、喉そのものの問題は、難しいです。