無理に負担をかけて、重い強い声にしようとしては喉を壊しかねません。自然にできていくのを、できていかないようにしているから、どの程度に無理をしていくのかがトレーニングの肝です。これを私は「負荷」や「抵抗」といっています。
きちんとした結びつきを感じられないうちに、思いっきり息を出して、その息を思いっきり声にする、さらに、それを高くとか、シャウトとか、大きくとか、長くとか、続けてやるとかで、無理になりすぎてしまいます。それは初心者には自殺行為に等しいことです。特に自主トレでは。プロでもやってはいけません。だからこそ、息なのです。
喉を傷めたり、調子によくないときは、のどを休めることです。
本番前に、息だけを流すというのは、私もよくやりました。オペラの教本にもあります。声を出すのは声帯を振動させることで、その負担やリスクを考えて、できるだけ喉を温存するわけです。
ただ、いつまでも体や神経まで、うまく働かないままでは困るのです。そこで、アフォーメーションとして、呼吸を使っておくのです。ボクサーが試合前に、体を動かして、汗をかいておくのと同じです。サンドバックなどを叩きすぎては、フルラウンド前に疲れてしまう。でも、じっとして、いきなりリングに出たら1ラウンドでKOでしょう。
声も息も体も温め、スタンバイできる態勢をつかまなくてはいけないのです。