小さい頃からピアノを弾けた人は、なぜ弾けるようになったのか、覚えていないでしょう。教えるときには、もの心ついてから学んだ人よりも苦労します。弾けるようになった手順を覚えていないからです。
歌ならなおさらです。もの心ついたときにスターになったような人は、教えるにも「気持ちがすべて」と。そのような人は「気持ち」でコントロールできるのですが、大半の人は発声、音感、リズムを何とかしないと、どうにもなりません。
NHKののど自慢のゲスト歌手の励ましに似たようなトレーナーのレッスンもみたことがあります。日本人が海外に行くと社交儀礼とともに、レッスンがそういうレベルでされていることがよくあります。
自信とプロフィルの履歴がつくのです。私が体操を内村航平くん、スケートを浅田真央さんに習っても、彼らの人生の無駄です。
幼い時に習ったピアノで絶対音感が残っている私に、その音を出せない人の指導はできません。しかし、十代でやりだした発声は、プロセスが明確に残っています。発声のプロセスをみたのです。