レッスンやトレーニングは補強にすぎません。気づいて変えるための時空です。私はレッスンでは、声だけでなく、ことばの働きも重視します。感覚が磨かれるからです。本質をみるには、くり返すだけの練習では足らないからです。
私は、カラオケ教室のスタイルは肯定しています。他の方法もどれも否定しません。それなりに実践が伴って、目的とニーズがはっきりしているからです。
こういう関係について、ヴォイトレの定義や関係性があいまいなので、ほとんどの人はつかんでいません。ですから、本番への調整と本来のトレーニングの違いを、くり返し述べているのです。
かつて、カラオケ教室や歌唱教室で、音程やリズムトレーニングをやっていました。うまい人はどちらにも行きませんでした。へたな人は、習って少しうまくなりましたが、アマチュアのうまい人並みにもいきませんでした。なぜでしょうか。結果を早く求められると、固めることを上達と思うからです。バランスと安定感が評価となるからです。
バッティングセンターでは、慣れない人(特に女性など)は、バットにボールをあてようとして、あたって前にはねかえったら喜んでいます。くり返しているうちにあたるようになってきます。しかし、これでいつかちゃんと打てるようになるでしょうか。「バットにボールをあてる」のと「ボールにバットをあてる」のは違います。あたるのではなく、あてなくてはいけないですね。似ているようで逆のことです。笑わせることと笑われることくらい異なります。
まずは、腰中心の素振りをマスターした方がよいですね。コーチが子供に教えるときはそうしています。ヒットを打つのと、バットにボールをあてるのは、目的が違います。必要とされる条件も違います。そこをみて、変えないと大した上達は望めません。