音楽やせりふは、時間のアートです。時間をどうみるかです。これは「永遠の問い」にも通じます。ともかくも、無音から一つの音やその動きに集中して、ゆっくりと学ばなくてはなりません。
私は、ピアノ伴奏に頼らせずアカペラをメインにしています。何でも描ける透明なキャンバスに声を吹き付けさせるようなことを意図しています。
私のレッスンはとても静かです。その人の声だけが響きます。声で時空を変えるのですから、時空が止まらないとダメなのです。時空を一瞬で変えるようなことをやろうと試しているのです。
これまで、いろんなレッスンをみたり経験してきました。ワークショップは騒ぎすぎ、個人レッスンでもピアノや声がうるさいのが多くなったように思います。日本人はおとなしいので、トレーナーがテンションをあげさせようとします。それでは、本人の感度が高まりません。
私の合宿では、静寂のなか、小さな鐘を鳴らし、そこに小さな声を一人ひとり重ねていくようなことをしていました。どんな音も、もともと遠くまで聞こえるのです。とはいえ、この共鳴とロングトーンのコントロールは、基礎として、呼吸や体がないとしっかりとはできないのです。まずはできていないことに気づけばよいのです。