集団で行うもの、合唱やミュージカルでは、他人に迷惑をかけないこと、コンスタントに平均点をとり、総合点をキープできることが、日本では求められます。スターはいらない。ミュージカルは、スターを生み出すのでなく、別に有名なタレントをスターとして連れてきてまかないます。その結果、形から入って形に終わるのです。私の感じたい声での表現の成り立ちのプライオリティは、とても低いのです。
形というのは、ステージ、舞台、音楽としてのハコがきちんと整っているということです。ホールや設備があればよいこと、それは今や当たり前なのですが。新人歌手も音大生も、平均のレベルは高くなりました。下手な人がいなくなったのです。それは、トレーナーやスタッフの実績といってよいでしょう。
昔の音大生のオペラなどは、失礼ですが、人前に出すものとしては破たんしていました。今は、最後にしぜんと拍手がくるほどのものになりました。でも、スターがいません。それは、トレーナーの責任外ですから、指導の負の部分かもしれません。
ステージでせりふを忘れて泣き出す子は、ある幼稚園ではいなくなりました。CDで流れるせりふにフリだけつけるとそういう失敗は起きないのです。進行もきっちり時間通りに終わります。全員の失敗をなくす見事な教育です。皮肉ですよ、念のため。