03.発声
声の高―低は、敬意―敵意であるのは、自明のことでしょう。これは、経験ではなく、本能的になされているようです。 赤ん坊には高い声であやす方がよいでしょう。赤ん坊はサイレンの音の高さくらいで泣きます。人が子供の声に敏感なのは言うまでもありません。…
音声認識も私の発声を認識するレベルになりました。大した進歩です。 私の声は、日本人の並みではないので、日本人用につくられた技術では認識しづらく、英語なら、変換率は高かったのです。日本語では、同音異義語があることなどとは異なるレベルで聞き取り…
声は命、声は全人格、声の器と例えてきました。器を大きくしないと中身が入らないのです。声が求められるイメージにそぐわないと、信頼をおけない人物とみなされます。 声を扱う者としては、人の行動と心との関係に入らざるをえません。 相手の表情、感情を…
行動からみると、歌や声の発達に、次の4つの区分を見出せます。 1.五感への刺激 2.発達、成長 3.系統的進化 4.目的意識 これらによって区分されてきたのです。 これまでは、素質と環境、つまり、才能と教育とか先天的と後天的というので分けてきました。…
産声には、人種や民族の差はないそうです。 脳でいうと、 先天的―辺縁皮質―泣く、叫ぶ 後天的―新皮質―言語>情意、性格 で、分けられます。
声は、変えられるし仮面もつけられます。いずれ整形外科のように手術さえ一般化するでしょう。 会話は応用ですから、その人のパーソナリティの演出したところ、つまり、キャラで語られることになります。 ペルソナ(仮面)は、パーソナリティの語源です。 声楽…
人は、思わず独り言をつぶやいたり、叫び声を常ならざるときにあげます。孤独な修行僧は、読経で心を落ち着けます。 生きるのは、息するというのですが、それは、吸うだけでなく吐くことでもあります。吐いて声を出すのです。それは、孤独からの脱出、人との…
暗く低い声は、まじめで重厚にイメージされます。僧侶の声を思い浮かべてみるとよいでしょう。 荘厳で死の場面にふさわしく、それはアートに近づく声ともいえるものです。 チベット仏教の声明などは、もっともふさわしいでしょう。コーランやグレゴリオなど…
人々の声を聞くようにしましょう。これは顔をみたり、文章で読むのではなく、声に限ります。声を聞くのは、ことばの意味、内容だけでなく、まさにその声を聞いて、真偽や熱意、覚悟を見抜くことになるのです。 それは、そのまま舞台で問われる声の要素に通じ…
石の悲鳴が聞こえるので「割った石は使わない」というアーティストが、私の知人にいます。屠殺の残虐性で肉を食べないという類のベジタリアンに通じます。 すでに生命と物質とは、区別がつかなくなりつつあります。 声は、音波、波動です。それを伝えている…
第一印象は大きく視覚に左右されるものです。もし、それで全てがわかるのなら人生もつまらないものでしょう。 自分を隠したり化かすのに、人はファッショナブルにしたり、ユニフォーム、制服を着たり、化粧をしたりするのです。 その反面、声というのは隠し…
寝ているときや、起きたときは、鼻声になります。これは、筋肉を休めて「緊張を解くからです。口から出す音まで鼻を使ってしまうからです。 そこで、ハミングやm、nに近くなるのです。鼻声、鼻母音化してしまうのです。 甘えたり媚びたりするとき、これをう…
「はじめにことばありき」と言いますが、ことばは、声にのっているのですから「はじめに声ありき」ともいえます。 動物は、鳴き声を出しますが、それは、音声ではありません。 人のことばは意味をもっているので、音声といいます。 しかし、声から始まった、…
声は、匂いと同じく形がありません。しかし、他の人に何かを伝えるのに使えます。いえ、とても有効です。 触らないとわからない触感、嗅がないとわからない嗅覚、口に入れないとわからない味覚とは異なり、声は遠くまで伝えられます。 視覚は、強力な感覚で…
腹を据え、自信たっぷり、覚悟をもって話すことです。腹にひびく声には、説得力、強さ、信じるもの、包容力、ぬくもりがあります。決して早口でまくしたててはなりません。
重さ、というのでしょうか、ある意味での暗さが、人も歌も声にも重要です。重要とは、重い要めと書きます。下積みは、重さとなります。表現を支えるその人の重みとなります。 音楽でも、そこにアンチとして、明るく軽い音楽、イージーミュージックが出てきた…
そういうことで、ヴォイトレが第一にリラックスを目的としてのノウハウになってきたともいえます。つまり、普段通りの状況をゼロにして、緊張して固くなり力んだのをマイナスとみて、そこをゼロに戻すということです。 私は、それはヴォイトレよりも呼吸やメ…
「脱力したしぜんな発声」というのは、何を示すのか。イメージのことばともいえますから、使う人によっても異なり、明確でないのです。力みが入っているのをとることでスムーズにしぜんになることから、そういう言い方がよく使われています。つまり、余分な…
正しい理論、正しいメニュは、正しいというだけで怪しいです。とはいえ、それぞれに違いもあれば共通のこともあるのです。しぜんの声、自分自身の本物の声、と言うと嘘くさいのですが…、ナチュラルに心地よい魅力的な声は、確かにあります。神がかった声もあ…
よく、「ことばを言い間違えると失礼になる」「ことば遣いでモラルとか好感度アップ」などということがいわれています。知らない人とのメールでのやり取りでは大切ですが、電話でも会話でも、声の使い方やパフォーマンスでどうにもなるのです。無愛想な表情…
人の感情に働くように声が導かれる、するとそれが一つの型となり、馴染むようになってくる。その味わいが細かく分かれて通の人が出てきます。マニアックになると、それについて行けない人は離れていきます。新しい人も入ってこれなくなります。 聴くのがうま…
声のよし悪しは、どのくらいの問題になるのでしょうか。 「ガラガラ声でカエルのよう、と叩かれた。大事なのは真実を語っているかどうかだ」(ボブ・ディラン、2014年グラミー賞のプレ・イベントにて) オペラ歌手の評価ではないから、声の美しさはあまり関…
これまで自分に大きく聞こえていた声は、喉で内耳に響いてうるさく、外には拡散する生声やこもり声、だんご声です。その判断ができることが、よくないとされるほとんどの声からの脱却のポイントです。 鐘をきちんと叩けば、強くなくとも、その響きを邪魔しな…
よい声について、発声ではよく言われている次の例が具体的でよいかと思います。 1、自分では大きく出していない、よく聞こえない声 2、響いていない声、自分にきれいに聞こえない声 普段の練習の目的とは全く別のことが、ここでは言われています。1はとて…
必ずしも、真実の声は瞬時にわかるとはいえません。まったく異なるから、次元が違うからです。全体を完全につかんだときならともかく、部分的にそのきっかけだけが来ることの方が多いからです。その断片を早くから組み合わせていける人は少ないものです。私…
ゾーンとは、ある時間のある感覚で、それですべてであるという決定的なものです。それを得た人、感じた人、みたけど逃した人、少なくともその存在を知る人は、こういうことを理解できるでしょう。 読まなくてもわかっているから読まなくてもよいし、わからな…
喉をならすのでなく、なっているとしぜんと呼吸も長く使えます。だから「ならすな」というのです。 「喉を開ける」これもイメージ言語ですが、そこで「締めろ」というトレーナーもいます。まったく逆のことのようですが、私からすれば、同じことです。喉はあ…
発声の理想の状態は、結論からいうと、ゾーンに入った感覚です。我が消えて自分が世界、宇宙の中心という神の媒介のようになった至福感に満たされ、そこに方法も術もないのです。それは、使えるようになるために使うもので、使えた時には消えます。消えない…
声を音としてみると、次の4つで定まります。 強弱、(声量、音圧、ヴォリューム) 高低、(周波数) 音色、(フォルマント) 長短、(time)、持続時間、息の長さ これに 共鳴(鼻声、ハミングなども含む、または頭声、胸声) が加わり 調音(調音点、調音法) で…
ことばと歌と、どちらが先かというようなことは、定義にもよります。この2つを明確に分けることは、本当はできないのですが、それぞれに便宜的に分別しているわけです。しかし、私はストレートにことばのない歌、スキャットなどを考えたら、すぐにわかること…