17.喉、身体、生理学
理論づけしないと使えない、納得できないとできないという人には、それなりに理論づけしています。しかし、理論というのは、他の人に継承されても実践で全く異なっていくのです。すると、実践をみて、その理論の元のものまで否定されるようになりがちです。 …
心技体は、それぞれバラバラに対処するのでなく、コンビネーションが問われます。日本語でいうなら、結びつき、系です。 今の自分の能力をいつも100パーセント使えてうまくいっているというなら、すごいプロです。そうではなく、一つひとつの力がそれぞれに…
痛みは警告です。休ませて回復させなくてはいけません。その原因をつかんでいくことです。対処をして、結果をみます。記録して、次の同じような場合に備えます。 それを、最初から全て人任せにするのはよくありません。例えば、薬などで抑えると、正しく把握…
身体を早く変えようと時間や量を増やすと、すごく効果の出る人がいます。反面、リスクが高くなります。トレーナーは、そのリスクをみて調整する役割があります。それをリスクを取りたくないから、最初からリスクなしにしましょうとするのは、どうでしょうか…
喉に痛いこと、うまく声にならないことは、よくない発声です。それがダメなのでなく。何かを変える必要があるという知らせです。トレーナーやそのメニュが悪いとはかぎりません。使い方が悪いとか、合っていないこともあります。別の原因、例えば、体調や睡…
声の出方(声帯)の状態だけからみてメニュを与えるのは、医者や言語聴覚士なら必要なことでしょう。しかし、体を変えて呼吸のコントロールの力をつけるのに、深い呼吸を最初からコントロールできないから、大きな呼吸を必要とするのです。大きな声を必要悪…
喉や発声に負担をかけないようにする呼吸法や呼吸のトレーニングもあります。それを体や喉の弱くなった人の多くなった最近、よく使います。でもこれは、筋トレと同じ、部分的に切り離した強化へのアプローチです。 これだけで声が大きくなるなら、アスリート…
声をていねいに小さく取り出していっても、 ていねいにていねいに大きくしたら、より伝わるようにできます。でも、時間がすごくかかります。声楽家の言う、「呼吸だけで10年」が待てますか。それだけならよいのですが、これまでに長く、10年以上生きてきて、…
筋トレで、速く走れるようになり、重いものを持ち上げられても発声とは関係ない、確かにそうでしょう。でも、歩くことも荷物を持つのも疲れるような人が、体力をつけようとしないとしたら、それは発声力の上達どころか、維持を妨げます。 私が否定するのは、…
あるトレーナーのレッスンで、声の状態が悪くなり、次のトレーナーのレッスンが丁寧にできなかった。稀にそういうケースがあります。即効的な解決は、2番目のトレーナーだけにして、丁寧なレッスンを行うことです。それは、今の日本の声楽家やヴォイストレー…
専門家が必要なのは、専門外のこととの調整の能力なのかもしれないと思うのです。専門のこと、時間をかけてきたこと、自分ができることの方が案外と、できているということで、勘違いしてしまいがちです。 できているとみられると、人に教えられると思います…
技術を得たいというなら技術のある人に、世の中に出たいというなら世の中に出た人についていけばよいのです。ただ、歌手というのは、歌手を育てるのに適していないということです。歌手になりたければ歌手を育てた人につくのがよいと思います。 まじめな人ほ…
プロの育て方はどういうことでしょう。プロデューサーが何千人のオーディションで最高の素材を選んで、歌を覚え込ませ、売れっ子作詞作曲家でヒットを演出させるという昭和の頃の歌謡曲や演歌のやり方は、もう通用しません。今も売れっ子の作曲家やプロデュ…
ここで「育ち方」としたのは、人は、育てようとして育つものではないからです。特にアーティストは、です。 学ばせて学べたら、教えて教われたら、そんなによいことはないのです。それはそうしないよりもましです。しかし、そんなことをしなくても、毎日そう…
歌も、ほとんどが円熟とか成熟という名のもとに汚れ、新鮮なものでなくなっていきます。昔のように、全盛期をすぎ、老いてナツメロ歌手になる頃ならよいのですが、日本ではそれが早く、昔であれば40代、早ければ30代後半で退化していたように思うのですが、…
歌手の集団化、スターをつくらないシステムが、日本らしい成功をおさめているといえます。そこでは、演出家、プロデューサーがアーティストです。テクノや機器でしか世界に出られない日本、SEやアレンジャーがアーティストのステージ、客が主役のフェスティ…
「歌は時代と人とともにある」と思いつつも、日本の歌や声の力の弱体化をみてきました。結局のところ、流行したり売れているものは、何かの理があります。それを他のところ(たとえば国外)や他の時代(昭和以前)と比べて、評したところで、しょうもないの…
「楽器の練習や人の歌を聴くと、喉が疲れるから発声の練習は先にするように」と私は教わりました。確かにそのとおりで、イメージは声帯に働きかけ、歌っていなくても疲れることがあります。発声をしなくても歌いやすい状態にセッティングされるともいえます…
a.ステージ=状態、調整、リラックス、バランス(声域)、本番 b.トレーニング=条件、強化、集中、インパクト(声量、音色) これは、私がよく使う声や歌の本番(ステージ)とトレーニングの違いを述べた対比表です。aはマイナス、ミスをなくす方向、bはプ…
歌い手は、喉のプロであるとともに、音の構成、展開での演奏、イメージの組み立てにおいて、プロであるべきです。音響の完備された時代ですが、科学的、生理学的見解からなされるトレーニングのメニュや方法には、疑問があります。私自身、理由や根拠の全く…
声の学び方について、輪郭が見えてきましたか。一流の人からどう学ぶかは、「読むだけで…」(音楽之友社)に、詳しく述べましたが、前提として必要なのは、一流の耳作りと感覚作りです。声楽の人も邦楽の人も、参考にしていただければよいと思います。 歌謡…
歌手も役者も、出口は、表現力となります。そこで歌手は音楽の、役者は演技の振り、しぐさや表情といった、プロを目指さなくてはいけません。素人であってもプロ以上のプロ、役者以上の役者もいるので、いくつか定義してみます。 プロであるには「プロみたい…
ヴォイトレとして似ているものとして、話し(方)、語学(日本語、外国語)に関わる人、プレイヤー、役者、歌手、声優、アナウンサーなどで例をとります。 たとえば、アナウンサーや声優は、2年くらいの養成所(スクールなど)での勉強の期間が必要でしょう…
歌手において、プロや職業的歌手ということを、歌で生計を立てているかどうかで問うことの無意味さを述べたことがあります。次のように分けてみるのは、一つの案かと存じます。 1.芸術的歌手(オペラ歌手) 2.総合的歌手(シンガーソングライター) 3.パ…
もともと、本をよく読んでからいらっしゃるようなタイプの人は、うまくいかないと思っているときに違う本を読んでしまうと、また別のトレーナーのことばややり方を信じ、これまで間違っていたと思ってしまうという、判断の二極化の傾向が強くあります。 本当…
トレーナーとしてはお勧めできないと思われているとはいえ、のど(声)をムリにつぶしたタイプでは、もんたよしのりさん、長渕剛さんは、個性的です。長渕さんの「乾杯」を最初のバージョンと今とを比べると、彼の場合、きれいな声が生来あったのに、それを…
ヴォイストレーニングを表現からみたときに、どのような表現を目的にするのかは、とても難しい課題です。 オペラであれば、まだわかりやすいでしょう。オーディションやコンクールの基準が参考に、一流のオペラを徹底して聴くこと、その上で日本でなら二期会…
声の改革というのなら、あらゆるごまかしや不鮮明なところを白日にさらし、一時、バランスを崩してでも、問題点を顕わにすることです。そして解決のための課題を鮮明にしていくことです。 そこに声以外にも、アーティストのオリジナリティや表現とも絡むこと…
私はプロの歌唱、それもステージを控えてのアドバイスからこの仕事を始めたからよくわかります。 すぐ本番を迎える歌手に、根本からの発声トレーニングは、リスクが大きすぎます。シーズン中にバッティングフォームの改良をするようなものです。できるのは、…
あなたは、世界一、声域のある人、声量のある人、音程のよい人になりたいわけではないでしょう。自分自身のもって生まれたもの、育ちで得られたもの、思考や性格もふまえて、オリジナリティを確立させていきたくはありませんか。高いレベルでは、他人はそれ…