声楽を学んできた音大卒というキャリアで教えている人にも、問題は少なくありません。私自身は、声楽の発声も、声という点では同じであると思っています。ただ、表現のスタイルと、それぞれの要素の優先順位、重要度が違うのです。
特に声域を絶対優先にした高音獲得競争は、キーを自由に移動できるポピュラーには、害になりかねません。その人に理想的な発声の追求が、地力とコントロール力をつけることで、声量や声域を拡げる結果となることにおいて、高音獲得も意味があるのですが。
しかし、高音を求める人にはポップスのトレーナーにつくより、声楽家がお勧めです。そこで私も協力いただいています
クラシックは、理想とする大歌手の歌や声を手本に鍛錬していくのですが、ポピュラーには見本がありません。お手本は、教わる人自身の中にある最高のもの(オリジナリティ)です。その個性を殺しては、何にもならないのです。ですから、声楽家を使うなら、その人をプロデュースできる判断力を持つ人が必要です。