長期的にみなくてはいけないものを早くあるレベルにまで高めるということには、無理が伴わない方がおかしいのです。たとえば、トレーニングを行なうと腹筋やブレスは半年でも相当強くなります。そうでなくては、プロの体にはなっていかないから、そうせざるをえないのです。しかし、それをコントロールする技術は、すぐには伴いません。
そんなときに、高音でトレーニングをしたら、そのへんで自己流のトレーニングをしている人のやり方に輪をかけたくらい、のどをこわすリスクに直面してしまうことにもなりかねません。
強い武器は、それを手に入れることよりも、その使い方の方が難しいのです。ですから、進めるにあたって、安全を確保しつつ、トレーニングの真意がわかるように理論や説明をつけて、いろいろな例を使って述べているのです。
ヴォイストレーニングでは、最高のコンディションに整えること、そのとき以外はできないことはやらないことです。もっとも適切なメニューをこなして、柔軟に使えるよう方向づけていくことが大切です。