ギャップを正しく知るためにはどうすればよいでしょうか。自らの力が、可能性をもって伸びるために、何を材料にすればよいでしょうか。その選択こそがトレーナーに求められるのです。つまり、ステージや作品から、本質的なものを学ぶ力をつけられるように学ぶことが、基本の力をつけるには、大切なことなのです。
発声のテクニックや歌唱技法などは、一流の作品から、本人が啓発される力に比べたら、表面的なものに過ぎません。内的な変化は、外から与えるだけで、変わるものではありません。誰かの声、歌、せりふ、発言、マニュアルと、何であれ、ストックして、内側から身についてくるのを待つしかありません。そうして少しずつ、自分の軸が定まってくるのです。
自分と似た声質のトレーナーやヴォーカリストは、それに近づけていくためにはわかりやすい見本です。早くうまくなっていくには、利用できますが、自分の軸はできていきません。他人の軸である限り、いつもあちこちでブレます。器用すぎる人と若いトレーナーに多い特徴です。
声に対して、自らがどの地点にいるのかは、わかるものではありません。それを学ぶためには、声楽などを一時、使うのです。それがわかりやすい方法だからです。