日本はロカビリー、ロック、ポップス、ジャズ、カンツォーネ、シャンソン、ラテン、ボサノヴァ、ファドまで、向こうのものに訳詞をつけて歌う時代となり、同じ曲での比較が容易になったのです。
当初は英詞の訳もよいのがあったのですが。(この一連のヒットで、出版社をつくったのがシンコーミュージック創設者漣健児氏です。「悲しき・・・」で始まる一連のシリーズが有名です。多くの歌い手が同じ曲を歌ったために比較でき、秀劣や個性がとてもわかりやすかったのです。違う歌詞がいくつか付くこともありました。
日本人の英語熱もあって、ジャズやポップ、ロックなど英語曲は英語のまま歌う人が多くなりました。その日本訳の詞は、陳腐なものが多かったのです。それに対し、カンツォーネやシャンソンは、日本人にはフランス語、イタリア語がわかる人が少ないせいもあってか、よい詞がつき、日本語で歌われました。宝塚時代、越路吹雪さんの歌を訳詞した岩谷時子さんや、作詞家のなかにし礼さんなどは、シャンソン畑出身です。