私が日本人の歌手や役者に決定的に欠けているとみなしていたのは、
1.力強さ、タフさ
2.完全なコントロール力、ねばり
3.声としてのオリジナリティ
4.演奏としてのオリジナリティ
5.即興力
ほかにコーラスや構成、展開、全体を統一する力などもあります。あまりに多いので、そう簡単に変わりません。
音響技術での補完が容易になり、客も一層の視覚的効果を求めるようになったので、声の問題そのものの位置づけや、優先順も以前よりあいまい(というか、ダメでもよく)になってきました。そのために、アーティストやプロデューサーと相談せざるをえなくなりつつあります。
欧米のように、1~3の条件の上に4がのったヴォーカリスト、つまり、本人のもっとも可能性のある声(オリジナルの声)を取り出した上に、作品のオリジナリティをのせるところにまでいきつかないのです。そこまで求められないということです。