発声トレーニングをして本気になると、高音では一時、顔がくしゃくしゃになってくるのです。ポーカーフェイスでハイCまで歌えるパヴァロッティの偉大さは、その逆ということで捉えられます。生身というしぜんと、造作というテクニック、人工的なものとのせめぎあいが生じるのが、ふつうなのです。表情を変えずに声色を変えられるいっこく堂さんのすごさです。
喉という楽器の完成へのプロセスを未完成なりにももっとも、うまく奏でるために、というところからテクニックとのせめぎあいとなります。喉とその使い方においての葛藤につながるのです。