私は、声の弱者のためにメンタルとフィジカルの勉強をしました。これは、声の強者の基礎づくりのために、最初はアプローチしていたものです。
1.体と感覚の条件の違い―鍛え方でフォローする。
2.体と感覚の状態の違い―使い方でフォローする。
1は、どっぷりと日常のなかに入っています。そこでレッスンとなると、どうしても、2が中心になります。体や呼吸を使うというのは、難しいのですが(使えているなら使っているので)、軟口蓋をあげるとか、顎を引くなどの方法は、わかりやすいからです。声楽的な教えでは、そうなりがちです。でも軟口蓋を上げてもどこかで限界でしょう。これで1、2音高い声が出るようになったり、軽く響きやすくなったり、変わるところまで行い、そういう面をチェックするのです。
このとき、よくなった面を、トレーナーは指摘しますが、実のところ、それによって、よくなくなっている面もあるのです。それを同時に知らせることやカバーすることはできないと思います。多くのトレーナーが気がついていないこと、そこが問題なのです。
何も言えない理由にこだわり、気にしてしまうと、悪くなることがあります。しかし、相手をみて、よし悪し、両方について伝えるように努めています。
一つのレッスンやトレーニングは、大きな目標を遂げるために、ある小さな目的や時期に対してあります。それは優先度や重要度において、全く違います。そこで優先する目的だけしかみないでやることで、ある面においてデメリットが生じ、大きなリスクがあるのです。