私が参考してきたのは、音声学です。特に生理学と物理学的でみた喉と共鳴のモデルです。これは、トレーナーが知っておけばよいもので、レッスンでは副次的なものです。ところが、世の中での科学知識重視の傾向で、理論を知らないのは不安だから、知って安心したいということで、取り上げるようになりました。
私も、声の仕組みや音声学を、本でも説明することになりました。しかし、最小限しか入れないようにしています。他の先生のように出したくないのは、あまりにあいまいだからです。知識と発声や歌唱の上達とが、ほとんど関連していない点も大きいです。
発声はリアルの体で生じる問題です。静止した状態でみても何ともならないのです。
例えば整体では左右のズレをバランスをとろうとして、チェックして直します。それで声はよくなるでしょうか。健康になり、けがをしにくくなればよいともいえますが、果たしてそうですか。人間の左右は違うという大前提が抜けていませんか。