理論や理屈は、中途半端に持つと、却って害になります。アーティストやトレーナーのつくった教則本はありますが、私のように、あらゆるケースを想定、反証、チェック、フィードバックして、直し続けている人はいないでしょう。全ては仮説、試行錯誤で、私としても、完成はないと思っています。きちんとやらないで成果を云々したがる風潮は困ったものです。
「これが正解」と示されても、それはその人のトレーニングや自分の周りで適用したサンプルにすぎません。
一流の声楽家は、生涯にわたり、自分を研究し、発声も練習方法も変化させつづけているのです。スポーツ選手でさえ、たびたびフォームを変えるのです。
私の考え方や理論も、変わっていくと思います。でも感性や本質をみるところではあまり変わらないでしょう。そういうものは、その人が20年、30年とやり続けて何を残していくかです。長くみていくしかありません。
研究所は、今の時点でこれまでの研究所史上、トレーニングもトレーナーも一番充実しています。いらっしゃるアーティストもいろいろです。紹介をはじめ、異分野の人がたくさんいらっしゃっています。対象の広がりに追いつきません。だからこそ、研究所です。いつも大切となるのは、応用で問われる基礎の力なのです。