ヴォイストレーニングをしていました、という人も多くなりました。なかには留学までして、いろんなメニュや方法を体験していらっしゃる人もいます。しかし、肝心の声はよくなっていないのではないでしょうか。大半の人は発声のしかたを変えて、高めに楽にギアチェンジすることで終わっているからです。それが目標で満足しているからです。
声=息=体、この結びつきと強化が、本当の意味での、私の考えるヴォイストレーニングです。
声楽でも1、2年で大して変わるものではありません。ポップスのヴォイトレの数カ月では、調整して確認ができたらよいくらいです。
それは、レッスンのよし悪しでなくトレーニングとしての絶対量が不足しているのです。そこで期待したり、ガッカリしたりするのは、おかしいのです。噺家の修行さえ、前座、二つ目で、3年、5年とかかります。1、2年での成果は、声でなら、少々優れている人なら、すでに身につけているくらいのものです。
問題は、声を得るために、その手段を得にいったはずなのに、その実践を伴わせていない。つまり、いつかきちんと自分のものとなるように得てきていないことです。結果として処方や治療のように考え、先のことを忘れてしまっているからです。
今の声の響きを変化させて、声域を上に(高く浅く)広げるように言われたとします。バッティングでいうと、脱力して楽になったので、当てやすくなったのですが、キチンと芯で打つことができなくなったようなものです。ちなみに、野球は飛ばないボールに変わって、再び、素振りという基礎の大切さが、クローズアップされています。
声も同じです。マイクで音響がよくなったので、あてることばかり考え、きちんと芯で声を使うことができなくなったのです。初音ミクに歌わせるのですか。体から声を出すことの大切さを見直すことです。息吐き=呼吸のトレーニングの大切さをクローズアップしてください。