「楽器の練習や人の歌を聴くと、喉が疲れるから発声の練習は先にするように」と私は教わりました。確かにそのとおりで、イメージは声帯に働きかけ、歌っていなくても疲れることがあります。発声をしなくても歌いやすい状態にセッティングされるともいえます。
歌うことをイメージするトレーニングは、脳の神経細胞を動かしますから、これも有効でしょう。このあたりは、スポーツでのイメージトレーニング(ボクシングのシャドーボクシングなど)で同じことをしています。
たくさんの曲を聴いているだけで歌がうまくなったり、発声がよくなるということです。
そこで、私は「読むだけで声と歌がよくなる本」にはたくさんの曲を紹介して、聞くだけでも根本から学べるようにしているのです。
ピアニストは、ピアノの音を聞くと、指の神経細胞が動いているそうです。
量が質に転じると、ミスを予見して目立たないようにしたり、タッチに音色の違いを出したりできるようになります。弾いて出すより、聞いて修正するのです。つまり、聴覚野「ヘッシェル回(横側頭回)」の神経細胞の働きがプロなのです。
耳のよさは
1.幼いころからずっとやっている人。
2.幼いころだけやって、大人になってやりだした人。
3.大人になってやった人。
4.大人になってやっていない人。
と、この順で鈍いのです。大人になってからでもやれば、幼いころの経験がなくても、よくなるということを知っておくと、自信になるでしょう(失音感楽症や自閉症の人など、ここでもいろいろ難しいことがありました)。