私の親しくしている専門家は、声については、メンタルの問題が9割といいます。
・少し具合が悪いとすぐ専門家や医者のところに行く。結構なお金を払い、その分、効果があるように思う。
・長時間のレッスンの疲労感に実感を得る、コミュニケーションにおいて充実感や満足感を得る。
喉の状態が悪いために、そういうところへ行ってよくなる例は1/10×1/10=100に1つです。しかし、行くのは悪いことではありません。そこで
・原因を教えてもらい、自分なりによい状態をつかむ。
・専門家と話すことで、安心する。
・信頼することで、将来への自信を取り戻す。
これは、メンタル面での効果です。大切なことですが、長い時間軸でみると、自分のもつ条件は変わっていないのです。つまり、現実には状態がぶれているだけのことです。それがトレーニングというのなら、幻想に近いでしょう。ヴォイトレが本当に効果をあげるのかが、各界の第一人者に未だ認められているといいがたい状況は、このあたりに原因があるのです。
これは日本人の病院好きと似ていると思います。どこかしら悪いところをみつけにいく、病院で病名をもらいに行く。それがおすみつき、安心なのです。風邪で病院に行くのは日本人くらいです。その薬を貰わないと安心できなくて、眠れない。これでは自ら、病気になりにいくと言えます。
「原因がわかれば何とかなる」などというのは、科学の与えた幻想にすきません。
声についても、ほぼ推測、仮説での試行です。それでは心もとないから、「あなたは○○ですから○○をすればよくなります」というフォーマットでトレーナーは対応してしまうのです。いらっしゃる人から、そういう役割を求められてしまうからです。
方法やメニュを与えても大した効果はありません。望みが高くないから、どんな方法やメニュでもそれなりになってしまうのでしょう。よくなったと思い込みたいので、よいところをみて、そのように思い込んでしまっているのです。
よいレッスンは、気づきのための基準と補うための材料を与えることです。方法やメニュは、それを使えばすぐに解決しそうと、すぐに解決しようとする方向で使われやすいために、害になりかねないのです。