ここで「育ち方」としたのは、人は、育てようとして育つものではないからです。特にアーティストは、です。
学ばせて学べたら、教えて教われたら、そんなによいことはないのです。それはそうしないよりもましです。しかし、そんなことをしなくても、毎日そうして生きている人がたくさんいる世界では、それでは大したものにならないのです。
私が日本語の教室に行くようなものです。すると、教えると理屈っぽくなりそうです。日常では、さほど、そういうことはいらないのです。でも、理屈のなかに本質があれば、それのエッセンスが一つ上に行くのに役立ちます。
だからこそレッスンを通じて環境や習慣、思考や考え方が大きく変わるのです。変わらないと、大してこれまでとアウトプットが変わらないです。
歌やせりふは、他人の人生に触れていきます。自分の口から嘘を言って、その虚構に他人を引き込み、共感、感動を、ときにその人の生活になくてはならないほどの大きな影響を与えるのです。究極のサギ師です。
だからこそ、日常が日常であってはいけないし、他の人には特別な場のレッスンスタジオやステージが日常になってこなければならないのです。