細部にいろんな動きが出るのはよいことですが、それがメインのフレーズの線と共にどのように働きかけているかが大切です。作曲家が意図してプレイヤーの描く基本線をふまえた上で、そことセッションしていくのが、ヴォーカリストの歌というものです。そのままなぞるのでありません。それでは楽譜に正しく歌う音大の入試やよくある合唱団レベルでの歌いこなしになり、きれいでうまいだけのものとなります。
そのときの変化、結果として、創造したものの評価は、その人の呼吸にのっているかということです。大きくはみ出させたいなら、大きな呼吸が必要です。それがないと不自然、形だけが狙ってそうしたのがみえて、音楽としてはぶち壊しです。素直に歌うより悪くなるのです。しかし、歌に飽きかけた客はそういう形が出ると声を出し拍手するのです。