私がいろんな歌唱の構造がみえたのは、楽譜の研究、いや、楽譜にこじつけて、すぐれたヴォーカルたちに歌唱の解釈や創造したなかでのよしあしの判断の基準を皆に納得させようとしたことによると思います。
シンガーソングライターがつくった曲を分析すると、作曲家とは違うおかしな点がたくさんあります。それはシンガー特有の呼吸や声の特質からきています。コード進行にのせて楽器でつくる人より、即興型(鼻歌型)の人はその傾向が強いことから、その意味をていねいに読み取ったものです。本人(シンガーソングライター)は、そんなつもりもなく、つくれてしまった。それでよいと思うのです。Aメロ―Bメロ―サビでのBメロ(日本人の歌の特色の出るところ)の研究でも、得るところが大きかったです。
海外の曲などは4呼吸くらいでつくられて歌われています。それを日本人は4×4×4=64フレーズでカバーしています。力量の器の差が呼吸に出ます。日本でも昔は4行くらいで3番までの曲が多かったのです。それは日本人の呼吸に合っていたと思うのです。