本は文字ですから、イメージは伝わりにくい、といわれます。でも読んだ人のレベルに応じたイメージがつくられていくといえます。音声があると、声のイメージははっきりとします。それにもよし悪しがあります。
具体化される分、限定されるからです。絵がつくとさらに具体化し限定されていきます。ラジオはホットなメディア、TVはクールと言われるゆえんです。
「よい例」、「悪い例」をたくさん入れてあると判断力をつけるために役立つでしょう。でも、悪い例を何回も聞くのは、喉にもよくないでしょう。練習用としては賛成しかねます。
同じ理由で、あまりに個人的なメニュや部分的なメニュも悪影響を与えかねません。一般的にはシンプルなメニュがよいのです。
メニュがたくさん入っているのはよいのですが、全て使ったからといって大して意味はありません。特殊なものを除き、できるだけ誰でもあてはまる範囲内に収めておく方がよいでしょう。
海外のものにも、かなり特殊なケースでのハイレベルのトレーニングが入っているのもあります。参考にするにはよいのですが、使う人が今、使ってよいのかどうかの判断をできるわけではありません。優秀な人以外は、喉にダメージを受けかねません。本来は、そのトレーナーに会って、レッスンを受けてから使うべきものです。
見本の声の入っているものは、具体的な分、よしあしがどちらの方にも大きく振れます。日本のものは、残念なことに、困ったものが多いです。弱々しく抜いただけの声や、がなった声、喉声も少なくありません。それを聞くたびにイメージが悪くなり、声にも喉にもよくありません。
ヴォイトレなのにスケール(音程、リズム)などが中心で、発声、呼吸や共鳴などはつけたしとなっていることが多いのです。
応用や周辺から入っていく、慣れるというのもアプローチの一つです。本当に身になるトレーニングが欠けていると思えるのです。