よくレッスンで受ける「楽譜通り歌いなさい」も「楽譜をみて歌いなさい」も、どちらも曲が未消化になり、ふしぜんです。
1.楽譜で覚え
2.楽譜を忘れて歌い込み
3.楽譜に戻って完成させる
ことです。まさに守、破、離なのです。
この場合、楽譜に戻っても、それは守るのでなく離れているのです。せりふなどで問われることも同じかもしれません。
与えられたものを、マスターしていきますが、それはまだ自分のものではありません。自分なりに差し替えたり、動かしたり、自分の心の方から伝えるべき表現を求めます。
楽譜という形であれ、その人の頭の中の曲想であれ、現実としては、声が動いてその振動が人の心を動かせるものに仕上げるのです。ということでは、楽譜ということを改めて問うことは必要ないでしょう。
練習の場から離れて、その役を体験したり山中にこもったり滝に打たれたりする、というのは、よくある行き詰った練習の打開策です。そこで実を入れます。そしてまた、練習場に戻って、余計なものをそぎ、原型の形に戻すのです。