発声の基礎は呼吸と言われていますが、そのことが本当にわかっている人はほとんどいません。トレーナーも含めてです。“呼吸法”などといったまやかしは、どうでもよいことです。トレーニングの方法も、メニュもどんなものでもよいのです。それによって深まっていくかが全てです。
「表現を支えられるだけの呼吸を得る」ことが、本当の基礎です。これは生きていること、生きる力そのものです。
いくら音声表現の基礎といっても別に習得するような特殊なものはありません。90パーセントはすでに誰もがもっているものです。その延長上にあるのです。
呼吸でも寝たきりの病人と、オリンピック出場レベルの選手では、かなり違います。そこを私は90~99パーセント内での違いと言っているので、誤解のないように。そして、研究所は、アスリートもできていない残り1パーセントをつめるところです。
ヴォイトレというといつも呼吸法が問題となります。私も呼吸に関するたくさんの質問に答えてきました。研究所でも、メニュやQ&Aなどでよく扱われています。大体は「胸式呼吸でなく腹式呼吸を使いましょう」のレベルです。
そこでは、呼吸や発声のふしぜんなども伴って問題とされます。ヴォイトレの本意を伝えたい私にとって、いつも取り上げざるをえない課題です。
最近は、呼吸法や腹式呼吸の訓練、トレーニングそのものを否定する論調や、腹筋トレーニングを害とするようなものもあります。どれも低いレベルだから問題になるだけのことです。