野村監督は打つことよりも、まずは打ち取ること、バッターとしてよりキャッチャーとして、相手の心理をみることを本質と捉えたのでしょう。8×10の80にストライクゾーンを分けて、データをとりました。これはトレーナーとしては「やり方」になります。
次にどのコースにどの球種がくるかわかると、ほぼ、確実にヒットにできるのが、プロのバッターです。ですから、現場での勝負は心理戦なのです。力や技術を十分にもった上で心理を読む、その最高レベルが勘なのです。となると、バッティングセンターでは3割、4割でなく、10割打てなくては勝負以前のレベルということです。
ストライクゾーンを3×3くらいのマトリックスで捉えているようなバッターに、8×10の細分化したデータをもつのは、絶対的に有利なことです。投球を指示するキャッチャーの視点は、コーチです。これがチェックや上達のプロセスとなります。
しかし、長嶋さんの場合は、一般的なストライクゾーンなどは眼中にないのでしょう。打てる球と見送る球、つまり振る球と振らない球だけなのでしょう。打てる球、ヒットにできる球が振る球になるのです。一流ゆえに他人が定めたルールを超える、その常識を超えたプレーにファンは感動するのでしょう。
それを支えたのは、小学生でも、そこから始めるという素振りの徹底です。松井選手には、ニューヨークの最高級ホテルでも素振りをさせたというのです。シンプル イズ ベストなのです。