表現から入るとシンプルなことが、基礎から入ると迷路のようになることがあります。私は、プロの「歌唱」や「せりふ」のなかの声の目安を、「仮に」として、必ずどこかにおいています。これをマトリックスの縦に置くと、横に置かれるのは、それぞれの要素(声域、声量…)となります。3次元でみるなら、時間軸が必要です。器として大きくしていくにも、どこを優先するかによって違ってくるからです。
昔は、第一優先条件が声量(共鳴含む)であり、比較的、到達度合がわかりやすかったのですが、その後、日本では、声域のようになりました。これは個人差があり、また、素人は届けばよいが、プロは、使えなくてはいけないと言いつつ、その程度がわかりにくいものです。なぜなら音響技術で相当カバーできるからです。
声量が第一でなくなったのは、声量こそが音響技術でカバーできる度合が、もっとも高かったからでしょう。元々、ヴォリュームを増すためにマイクやスピーカーは発明されたのです。