私はいろんなステージで、本人や本人たち(出演者)だけが楽しんでいるステージをたくさんみてきました。いや、トレーナーという立場上、プロセス上の人をたくさんみているのですから、半分以上は、そういうステージであり、そのうちのいくつかは本人も楽しめないものでした。
ステージの見方ということです。この「楽しめない」にはいろんなパターンがあります。
全力を出しきったけど本人が満足できない(客は大満足)というのが、プロのあるべき姿です。客の求めるレベルを超えるからこそ、次にステージがさらに高みに昇っていく可能性があるのです。
歌は、ステージと本人のよさとの間にいろんなギャップがあります。私からみると、どうしてもステージ力ばかりに評価が行っています。まして、声は、一要素で、省みられることも少ないのです。
アマチュアでも本人の実力以上のものが出ることがあります。1コーラスまでで驚かされることは、しばしばあります。2曲くらいならプロを上回ることもあります。これは私の期待する「ブラボー」の対象レベルに達するのです。
プロはコンスタンスに、すべてにおいて見せていかなくてはいけないため、日本では実力不足で、リスクを避けるため、無難に納めることが多く、つまらなくなりがちです。ステージでなく歌や声ということでいうと、です。でも、エンターテインメントとしては歌でなくステージの勝負なのですから、私が偏ってみているといえます。そのみえないところの声や歌の基礎の地力が、本当は、大きな差となってついているのですが。