「問題として扱わないことが問題」これは私がヴォイトレの問題として、これまで、とるに足りないことを「問題としてしまうから問題になる」の反対ですが、両方とも問題です。
私からみると、声の分野は未成熟で、その表現の世界である歌、演劇などからみても若く、層の薄い分野です。「話し方教室」のようにストレートにビジネスマンや一般の人の能力アップに位置づけられるだけのステイタスも歴史もありません。
プロで活躍している人がたくさんいる分野からみると、趣味やサークルのようなものかもしれません。ただ、昔よりは本気の人が増えてきて、それはよいことなのに、人材の層が薄く、レベルが高くないために、いつまでもビギナー市場のようになっているのです。
本やネットで知識を得ても、扱うのは人間の体や感覚です。机上で解剖学辞典を頭に入れたヤブ医者や学生のようなレベルでは、受け手(レッスンしにくる人)と似たようなものですから、批判はしませんが、その位置づけやレベル、自らの力(自分の芸の力でなく、人に対しての力)を知ることができていないと思えるのです。