「標準語」ということばは、standard language、岡倉由三郎が最初に用いました(1890年)。それが東京語に準拠することになったのは「口語法」(1916年、国勢調査委員会)によります。最初の国定教科書「尋常小学読本」は1904年、すでに口語体の文章でした。これがラジオ放送の開始(1925年)で普及するとともに、整えられていったのです。私は、飯田橋の凸版の印刷の博物館で、いくつかの教科書をみました。
一方、「共通語」とは、異なった地方の人々が意志を通じ合うための言語です。これは、common languageで、第三の言語と考えたほうがよいでしょう。現実として、私たちは共通語を使って話しているといえます。これが、東京で一般的に使われていることばとは、必ずしも一致しないのは、NHKのアナウンサーの語り口を聞いたらわかりますね。
標準語というのは、理想的で人為的で、上からの押し付けのような感じがあってか、使われなくなってきたのでしょう。最近は方言も復活してきて、方言と共通語として使われています。