求愛のために、使われたのはメールや手紙という文章、文(ふみ)の前に、ことば、呼びかけ、歌謡です。その前では、声の響きだったでしょう。セレナーデのように、異性に呼びかけ、自分に関心をひく慣習は、今のカラオケにまで引き継がれています。
そこでは、歌詞の意味も大切ですが、声の質や歌い方で伝わる感じがもっと大切なのです。
男性は、声変わりでは1オクターブも低く、たくましい太い声になります。強く生命力のあることのアピールです。
歌だけでなく楽器の演奏で、異性に魅力的に働きかける。これも世界中いたるところで行われて今す。楽器というのも叩く(打つ)、弾く、吹くと、人の身体機能を拡張したものです。演奏をしていても、実のところ、歌っているのです。サックスやトランペットは、まさに人の声の代替えです。
それは1対1でなく、1対多でも人を魅了するようになりました。オペラやオーケストラも、その完成された形の一つでしょう。