夢実現・目標達成のための考え方と心身声のトレーニング(旧:ヴォイストレーナーの選び方)

声、発声、聞くこと、ヴォイストレーニングに関心のある人に( 1本版は、https://infobvt.wordpress.com/ をご利用ください。)

三母音の「イ」

「イ」は人が直立歩行して獲得した音です。喉頭が下がり、首が立って喉の奥から口に対して声道が直角に合っていないと出せません。このフォルマントは、そういう状態のつくれない動物や赤ちゃんには出せないのです。

 このように、発声器官そのものの変化は、人間の言語に大きく影響しています。その意味を代表する音が「イ」です。「イー」「イヤだ」、など、やや挑発的な音の響きにもなるし「イイ」「イーわ」のように穏やかに落ち着いた感じにもなります。両極端にブレやすい音に思います。

 「ア」に比べ、「ウ」「イ」は出しにくく、歌でも苦手にする人が、高音では多いようです。しかし、声楽などでは上達するにつれ、「イ」の方が楽に高く、しかも共鳴させられます。軟口蓋を高く上げられるために声道が長くしやすいのです。あごを引くことも関係します。

 「ア」の発声は、やりやすいようですが、中音域の声と同じで適当に出てしまうので、本当に調整していくのはやっかいです。日本語のようにもともと浅いと、そのままで定着し、発声や共鳴のなかで後々まで浅く固いまま、未完成に取り残されかねません。アマチュアの多くは「アー」で練習するのに、声楽家がそれを必ずしも使わないのは、長年使ってきたため、間違いやすいし深まりにくいからです。

 実際の発声練習では、母音だけでやるより、子音をつけている方が多いでしょう。その方がやりやすく、マスターしやすいからでしょう(共鳴の前のきっかけの音として子音、つまり、ことばをおいた方が、深めやすいと思われます。トレーナーの腕しだいで、使う音は大した違いはないともいえます)。